優秀な人材が離れない!養老保険を活用した「攻め」の退職金制度導入ガイド
- 西川 浩樹
- 5 時間前
- 読了時間: 4分

中小企業の経営において、「優秀な人材の確保」と「定着率の向上」は、会社の成長を左右する最重要課題です。その解決策として多くの企業が検討するのが退職金制度ですが、「どの制度が自社に合っているのか」「コストに見合うメリットがあるのか」という悩みは尽きません。
今回は、主要な制度を比較しつつ、特に中小企業においてメリットが大きい「養老保険(福利厚生プラン)」を活用した退職金準備について、具体的なシミュレーションを交えて解説します。
1. 「給与」か「退職金」か。2,000万円支給時の手取りを比較
経営者がまず知っておくべきは、同じ「2,000万円」を渡すにしても、毎月の給与に上乗せして払うのと、退職金として一括で払うのとでは、社員の手元に残る金額が劇的に変わるという事実です。
• 給与として支給: 毎月の給与に上乗せすると、所得税や住民税の負担が増えるだけでなく、社会保険料の負担も跳ね上がります。結果として、額面2,000万円のうち、社員が実際に受け取れる額は大きく目減りします。
• 退職金として支給: 退職所得には「退職所得控除」という大きな控除があり、さらに控除後の金額を「1/2」にして課税されるという強力な優遇措置があります。また、退職金には社会保険料がかかりません。
退職金という形をとる方が、社員の老後資金を最大化できるのです。
2. 主要な退職金準備制度の比較
現在、日本で主流となっている制度には、主に以下の4つの特徴があります。
1. 中小企業退職金共済(中退共): 国の援助がある制度で、掛金の一部を国が助成してくれます。ただし、役員は原則として加入できません。
2. 確定拠出年金(企業型DC): 社員自らが運用し、運用益が非課税になるメリットがありますが、会社には「投資教育」の実施義務が生じます。また、原則60歳まで引き出しができません。
3. 確定給付企業年金(DB): 将来の給付額が約束されていますが、運用が不調な場合は会社が不足分を負担するリスクがあります。
4. 民間保険(養老保険など): 保険の機能を活用し、万が一の保障と退職金の積み立てを両立できる柔軟な制度です。
3. 養老保険「福利厚生プラン」の仕組みとメリット
今回注目する養老保険の「福利厚生プラン」とは、法人が契約者、従業員を被保険者とする契約形態です。
■最大の特徴は「1/2損金」 一定の要件を満たすことで、支払った保険料の1/2を「福利厚生費」として損金算入できるのが最大の魅力です。残りの1/2は資産(保険料積立金)として計上します。
■保障と準備の「二段構え」 このプランは、以下の仕組みで社員と会社を守ります:
• 死亡時: 遺族に死亡保険金が支払われ、弔慰金・死亡退職金の原資となります。
• 満期時: 法人が満期保険金を受け取り、それを原資として社員に生存退職金を支給します。
また、中退共とは異なり、役員も加入できるため、会社全体の福利厚生として統一感のある設計が可能です。さらに、急な資金ニーズの際には「契約者貸付制度」を利用して解約せずに資金を調達できる柔軟性もあります。
4. 導入時の落とし穴「普遍的加入」のルール
養老保険を福利厚生費として計上するためには、「普遍的加入」という大原則を守らなければなりません。
特定の役職者や一部の従業員だけを対象に加入させた場合、支払った保険料は福利厚生費として認められず、その社員への「給与」とみなされて所得税が課税されてしまいます。 過去の判例でも、勤続年数などで条件を設けていたものの、実態として役職者しか恩恵を受けていなかったケースでは、普遍的加入が否定されています。制度を導入する際は、全従業員が公平にメリットを享受できる規程作りが不可欠です。
5. 他の制度との「セット使い」による相乗効果
実は、退職金制度は一つに絞る必要はありません。「中退共 + 養老保険」という組み合わせは非常に効果的です。
例えば、「中退共だけでは、長年貢献してくれた幹部社員への退職金が不足する」といった場合に、中退共をベースにしつつ、養老保険(福利厚生プラン)を上乗せすることで、会社に帰属する財源を確保し、より手厚い退職金制度を構築できます。
会社の基盤を固める戦略的な投資
退職金制度導入は、単なる固定費の増加ではなく、「社員への安心」を通じた最強の経営戦略です。
特に養老保険(福利厚生プラン)は、
• 1/2損金による税制メリットを享受できる
• 万が一の死亡保障と退職金の準備を同時に叶えられる
• 役員も含めた柔軟な制度設計が可能
といった、中小企業のニーズに合致した強みを持っています。
まずは自社のキャッシュフローや社員構成に合わせて、最適な組み合わせを検討してみてはいかがでしょうか。社員が「この会社で一生働きたい」と思える環境を整えることが、結果として会社の永続的な発展につながるはずです。
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※具体的な経理処理や税務の取扱いについては、必ず税理士などの専門家、または所轄税務署にご相談ください。
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