認知症は、高齢化に伴い増加の一途をたどっています。厚生労働省の調査によると、2025年には75歳以上の5人に1人が認知症になると推計されています。
認知症になると、判断能力や意思決定能力が低下し、一人で生活することが難しくなります。そのため、家族や支援者が本人の財産や生活を管理することになります。
認知症対策には、家族信託や任意後見制度といった方法があります。
家族信託とは、本人が信頼する家族や友人を「受託者」として、本人の財産を託し、その財産を管理・処分してもらうことです。家族信託は、本人が判断能力があるうちに契約を締結することができます。
任意後見制度とは、本人が判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ後見人を選任しておく制度です。任意後見制度は、本人の判断能力が低下してからでも契約を締結することができます。
家族信託と任意後見制度には、それぞれメリットとデメリットがあります。
家族信託のメリット
本人の判断能力があるうちに契約を締結できる
受託者を自由に選任できる
財産の管理・処分の方法を自由に定めることができる
家族信託のデメリット
契約の解除や変更が難しい
受託者の責任が大きい
任意後見制度のメリット
本人の判断能力が低下してからでも契約を締結できる
後見人の責任が家族信託に比べて小さい
任意後見制度のデメリット
家庭裁判所の審判が必要
後見人の選任に制限がある
社会保険労務士は、企業や個人の労働・社会保障に関する相談や手続きをサポートする専門家です。認知症対策においても、社会保険労務士は重要な役割を担っています。
社会保険労務士は、認知症に関する知識や情報を提供することで、本人や家族の理解を深めることができます。また、家族信託や任意後見制度の活用方法についてアドバイスすることで、本人の意思を尊重した適切な対策をサポートすることができます。
認知症対策の進め方
認知症対策は、本人や家族が一緒に考え、話し合うことが大切です。社会保険労務士に相談することで、本人や家族の不安や悩みを解消し、最適な対策を検討することができます。
具体的な進め方は、以下のとおりです。
本人の意思確認
まずは、本人の意思を尊重した上で、どのような対策を進めるかを検討する必要があります。本人の判断能力が低下している場合は、家族や医師などと相談しながら進めましょう。
家族信託や任意後見制度の検討
本人の意思を確認したら、家族信託や任意後見制度の活用を検討します。家族信託と任意後見制度のメリット・デメリットを比較検討し、本人や家族にとって最適な方法を選びましょう。
契約の締結
家族信託や任意後見制度を活用する場合は、契約を締結する必要があります。契約書の作成や公正証書の作成など、専門家に依頼することも検討しましょう。
定期的な見直し
本人の状況や家族の状況は、常に変化します。そのため、定期的に契約内容を見直し、必要に応じて変更しましょう。
認知症は、誰もがかかる可能性のある病気です。早めの対策をすることで、本人や家族の生活の質を維持することができます。社会保険労務士に相談することで、適切な認知症対策を検討することができます。
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