離婚したけれど、実際には一緒に暮らしている場合、配偶者として遺族年金を受け取れるのか、という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、必ずしも受け取れるとは限りません。
今回は、社会保険労務士の視点から、離婚後の事実婚状態と遺族年金について詳しく解説していきます。
離婚後の事実婚と遺族年金
離婚後も一緒に暮らしている場合、法律上は「事実婚」の状態と言えます。事実婚の配偶者が遺族年金を受給するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
事実婚関係の実体があったこと
死亡した人によって生計を維持されていたこと
事実婚関係の実体があったこととは、単に一緒に暮らしていたというだけではなく、社会通念上、夫婦と認められるような生活を送っていたことを証明する必要があります。例えば、共同で財産を形成していた、周囲の人々から夫婦と認識されていた、といった具体的な証拠が必要となります。
死亡した人によって生計を維持されていたこととは、経済的に依存していたことを証明する必要があります。例えば、家事労働によって家計を支えていた、生活費を共同で支出していた、といった証拠が必要となります。
証明の難しさ
これらの要件を証明することは、法律婚に比べて非常に困難です。なぜなら、事実婚は法律で明確に定義されているものではないため、個々のケースによって判断が異なってくるからです。
また、事実婚関係を証明するためには、以下の様な証拠が必要となる場合があります。
一緒に住んでいたことを示す賃貸契約書や電気・ガス・水道などの利用明細
連名で契約した銀行口座の通帳やクレジットカードの明細
共同で財産を形成していたことを示す不動産登記簿謄本や自動車の名義書
周囲の人々から夫婦と認識されていたことを示す手紙やメール
遺族年金を受給するためには
遺族年金を受給するためには、これらの証拠をしっかりと揃え、日本年金機構に申請する必要があります。
専門家への相談も検討しましょう
遺族年金の申請は、複雑な手続きが伴うため、一人で対応するのは難しい場合があります。社会保険労務士などの専門家に相談することで、よりスムーズに手続きを進めることができます。
離婚後も一緒に暮らしていた場合、遺族年金を受給できるかどうかは、個々のケースによって異なります。遺族年金を受給したいと考えている方は、まずは専門家に相談し、自分のケースについて詳しく教えてもらうことをおすすめします。
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